「会議室が足りないので、防音ブースを置きたい」。そう考えたとき、遮音性能や価格とあわせて確認しておきたいのが、設置先の建物で使える仕様かどうかです。
天井付きのブースでは、内装材や電源に加え、建物の消防設備との位置関係も確認が必要です。この記事では、総務・施設管理のご担当者に向けて、Tulikoの1人用防音ブース「UI1-S」の公開資料をもとに、導入前の確認事項を6つに整理します。
オフィス用の個室ブースやワークブースを比較する際も、設置場所に合うかどうかは別途確認が必要です。まず、設置スペース、内装材の根拠資料、消防設備との位置関係、電源仕様を整理しておくと、見積もりや管理会社への相談を進めやすくなります。
01 / 構造
防音ブースの構造と設置スペースを確認する

UI1-Sは、天井と扉を備えた1人用防音ブースです。前面・背面は透明ガラス、側面は吸音材を含む壁で構成されています。扉にはドアクローザーが付いています。
本体の外寸は幅1,000 × 奥行1,086 × 高さ2,240 mm、重量は326 kg。本体が収まる広さに加えて、扉の開閉スペース、搬入経路、組立・点検のための作業スペースも確保できるか確認しましょう。
天井付きのため、室内のスプリンクラーや感知器との位置関係も確認します。家具のように設置する製品でも、建物側の条件によって対応が変わります。設置場所の平面図と製品図面を用意し、建物の管理会社・管理者に相談してください。
02 / 内装材
不燃材料の認定番号と内装の仕様を確認する

UI1-Sの製品ページには、6063アルミフレーム、粉体塗装鋼板、遮音ボード、吸音パネルなどの構成を掲載しています。天井にも遮音ボードと吸音パネルを使用しています。
材質名や厚さが分かっても、それだけで日本の不燃材料の要件を満たすかは判断できません。壁と天井について、それぞれ納品される仕上げ材の資料を確認してください。
Tulikoが公開している吸音パネルの燃焼試験はASTM E84-2024によるものです。この報告書を、日本の不燃材料の大臣認定書として扱うことはできません。現時点の公開資料では、UI1-Sの壁・天井の内装に対応するNM認定番号は確認できません。
大臣認定品の場合は、NM認定番号と認定書・別添を確認します。部材の品名だけでなく、厚さ、下地、施工方法が認定の範囲に含まれるかも照合してください。大臣認定以外の根拠で不燃材料として扱う場合も、その根拠と適用される仕様の確認が必要です。
03 / 試験結果
試験報告書から分かる、遮音・吸音・材料の性能

図は左から、ブースの遮音、吸音材、材料試験の確認を表したAIによる説明用イメージです。実測風景や材料の断面構成を再現したものではなく、音の線の大きさは測定値の比率を示していません。UI1-Sは前面・背面が透明ガラスの仕様で、図中のデスクは別売りです。中央・右の材料は試験対象を説明するためのイメージで、納品部材との対応は各報告書と製品仕様で確認します。
防音ブースを選ぶときは、「音を外へ伝えにくくする性能」と「室内の音の反射を抑える材料」を分けて見ると、数値の意味が分かりやすくなります。Tulikoの公開資料と製品資料に含まれる報告書から、確認できる結果を整理しました。
ブース全体の遮音性能:33.0 dB/Class A
ISO 23351-1:2020による音声レベル低減量 DS,A:33.0 dB。報告書に記載された音響性能の区分はClass Aです。Web会議や電話の声が周囲へどの程度伝わりにくいかを、同じ試験規格で比較するための指標になります。
報告書のモデル名はUI1、寸法は1,000 × 1,086 × 2,240 mm。TulikoではUI1-Sに対応する資料として案内しています。報告書番号:260522006SHF-001、結果掲載:4ページ。
報告書に掲載された遮音試験の様子
試験室にブースと測定機器を配置した写真です。続く写真では、扉を開いた状態でブース内の音源の配置を確認できます。写真は試験の配置を示すもので、扉を開けた状態で33.0 dBを測定したことを示すものではありません。


出典:試験報告書260522006SHF-001、5ページ「付録A:試験写真・試料図面」。
周波数ごとの音圧レベル差は、500 Hzで32.0 dB、1,000 Hzで36.5 dB、2,000 Hzで43.2 dBと記載されています。これらは周波数別の結果であり、音声全体の評価値33.0 dBとは別の数値です。「あらゆる音を43.2 dB下げる」「会話が完全に聞こえなくなる」という意味ではありません。実際の聞こえ方は、話す声の大きさや周囲の音、設置条件によって変わります。
吸音材の性能:NRC 0.80
ポリエステル吸音板の残響室試験で、吸音率の代表値NRC 0.80を記録。音の反射を抑える材料を検討する際の参考になります。NRCは遮音量を示すdB値ではなく、「室内の騒音を80%減らす」という意味でもありません。
報告書番号:241129002SHF-001、結果掲載:4ページ。試験方法はGB/T 20247-2006、評価はGB/T 16731-1997。対象は厚さ9 mmの板材で、取付条件はE200です。UI1-Sの納品仕様と同一の材料・取付条件であることを示す資料ではないため、ブース全体の性能値としては扱わず、採用部材との対応を確認してください。
吸音板は、材料を設置して試験しています
残響室に吸音板を設置した試験写真です。NRC 0.80は、この報告書に記載された板材と取付条件で得られた結果です。ブース全体の遮音試験とは、対象も測定方法も異なります。

出典:試験報告書241129002SHF-001、5ページ「付録A:試験写真」。対象は厚さ9 mmの吸音板、取付条件はE200です。
内装材の燃焼特性:FSI 0/SDI 185
ASTM E84-2024の試験結果は、火炎伝播指数FSI 0、発煙指数SDI 185。報告書では、内壁・天井仕上げ材のClass Aに相当する結果とされています。内装材の表面で炎が広がる性質と発煙性を、試験条件のもとで確認した資料です。
対象は厚さ15.4 mmの黒色吸音板。報告書番号:AJFTS25002114R01_EN、結果掲載:3ページ。FSI 0は「燃えない」、SDI 185は「煙が出ない」という意味ではありません。この結果は日本の不燃材料認定や、ブース全体の耐火性能を示すものではありません。
同じ「Class A」でも、評価している性能は異なります
ISO 23351-1のClass Aはブースの音響性能、ASTM E84のClass Aは材料の表面燃焼特性に関する分類です。遮音・吸音・燃焼特性を混同せず、購入する製品と報告書の対象部材・構成が対応しているか確認しましょう。
04 / 消防設備
スプリンクラーと自動消火装置の条件を確認する
天井付きブースでは、「住宅用下方放出型自動消火装置」の設置について確認が必要になる場合があります。UI1-Sについては、現在の公開情報だけでは、標準装備・オプションとしての提供状況や設置事例を確認できません。装置の型番、取付位置、施工条件を含め、対応できるか個別にお問い合わせください。
東京消防庁の可動式ブースに関する取扱いでは、スプリンクラーヘッドや感知器について、一定の条件を満たす場合の取扱いが定められています。その一つに、天井・壁の不燃仕上げと住宅用下方放出型自動消火装置、適切な維持管理などを組み合わせる条件があります。装置の設置だけで、必要な条件をすべて満たせるわけではありません。
これは東京消防庁の取扱いの例です。設置地域や建物の用途、既存設備によって判断が異なるため、管轄の消防署に相談してください。東京消防庁の取扱い資料(PDF)
機器の型番、取付位置、対象となる内装・家具、施工担当、点検方法、交換・維持管理、追加費用をそろえて確認します。
05 / 電気設備
防音ブースのPSE表示と電源仕様を確認する

UI1-Sは照明、換気ファン、電源モジュールを備えています。写真のデスクなどの家具は別売りです。
現在公開されているPSE資料は、VCTFK 2 × 0.75 mm²の電源線に関するものです。この資料だけでは、照明・換気ファン・コンセントなど、ほかの機器の適合まで確認することはできません。
照明、ファン、コンセント等は、採用する機器の型番や接続方式に応じて、電気用品安全法の対象範囲と必要な表示・資料を確認します。CEやULの資料と、日本のPSEに関する確認は分けて進めます。
製品ページの入力電圧は220 Vと記載しており、日本向けの電源・プラグは見積もり時の確認事項としています。注文前に、納品される仕様の電圧、周波数、プラグ形状、容量、銘板表示を確認し、設置先の電源で使用できるか照合してください。
06 / 事前相談
設置事例は、消防署との相談内容も確認する

設置事例を参考にする際は、「管轄の消防署に相談したか」「どのような条件で設置したか」も確認しましょう。展示・納入写真から分かることと、消防署との協議で確認されたことは別です。
Tulikoの現在の公開事例からは、UI1-Sについて消防署と協議した内容や設置条件までは確認できません。実績を確認する場合は、製品型番、建物用途、設置地域、相談時期、追加設備、設置にあたって求められた条件をお問い合わせください。他の建物の事例が、そのまま今回の設置に当てはまるとは限りません。
相談前にそろえておきたい資料
- 設置階・用途・台数が分かる平面図と、扉を含む製品寸法図
- 壁・天井の材料構成と、不燃材料に関する根拠資料
- 照明・換気・電源機器の型番、定格、表示の写真
- 既存のスプリンクラー、感知器、避難経路との位置関係
- 自動消火装置等を追加する場合の計画と維持管理方法
まず建物管理者に設置予定を伝え、必要に応じて管轄の消防署や設備担当者と確認します。確認した条件を製品仕様と見積書に反映しておくと、発注後の認識違いを防ぎやすくなります。
UI1-Sの仕様と設置条件を確認する
Web会議や電話に使う個室を増やすなら、日々の使いやすさに加えて、設置先で求められる条件も押さえておきましょう。UI1-Sの製品ページと試験資料を確認し、不足する資料や仕様は、見積もりの段階でお問い合わせください。
1人用防音ブース UI1-Sを見る冒頭の設置イメージと図面を囲む相談風景は、AIで作成した説明用の画像です。実際の施工事例や消防署との協議の様子ではありません。画像内の家具は別売りです。
執筆:Tuliko。この記事は2026年10月26日時点の公開情報をもとに作成しています。個別の建物における設置可否や、未確認の認定・対応実績を保証するものではありません。
